H先生からのメールでこの本の存在を知ったのだが、ミャンマー国民の抵抗運動に関係しているすべての人に必読の書と言える本があった。それは、ジーンシャープの From Dictatorship to Democracy だ。独裁者を倒すための指南書と言える本である。
そもそも、この本はミャンマーの民主化活動家である ウ・ティンマウンウィンから依頼されて執筆した本で、1994年に英語とビルマ語(ミャンマー語)で出版された。当時、シャープはミャンマーのことをあまり知らなかったので、ミャンマーのために書いたというようりも、どの国でも応用できるように書いたという。
当時のSLORC軍事独裁政権はこの本を猛烈に批判した。1995年、1996年には、新聞、ラジオ、テレビなどで激しい攻撃が行われ、その後も続いたという。2005年には、禁止出版物であったこの本を持っていたという理由だけで、7年の懲役を言い渡された人がいる。という具合に、国軍にとっては禁断の書である。
シャープはこう説いた。
「もし、ある国の国民が、権力の源泉は国民自身にあって、独裁者に服従しないことも可能であることに気がつけば、支配者は権力を奪われることになる」
これはまさに今ミャンマーで行われているCDMのことだ。
また、シャープは非暴力を説いているが、これは彼が平和主義者だからではなく、戦術的観点からである。
「独裁政権側は、兵器、軍隊、秘密警察の全てを持ち合わせている。そんな状況下で武器を取るのは、敵の最強の道具で勝とうとするようなものだ」
この本を読んでいると、ミャンマーで今起こっていることと符合する部分が非常に多い。そして本の最後には、独裁者と闘う198の方法も書かれている。たぶん、ミャンマーで運動をリードしている者たちはこの本を熟読したのだろう。さらに、ミャンマーの若者たちはこの198の方法を超える独創的な方法を自らの頭で考え出している。
この本のPDFはこちらから無料でダウンロードできる。
英語版
https://www.nonviolent-conflict.org/.../from.../
ビルマ語版
https://www.nonviolent-conflict.org/.../dictatorship.../
ミャンマー関連だと、チン語、ジンポー語(カチン語)、カレン語、モン語などで翻訳されたPDFもダウンロードできる。
残念ながら、日本語のPDFはなかった。代わりに、ちくま学芸文庫から「独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書」が出版されている。
https://www.amazon.co.jp/dp/4480094768/
私はミャンマーにいるので日本語の書籍はすぐは買えないし、原文の英語を私の英語力で読みこなすのはかなり困難だ。ということで、今回はDeepLの自動翻訳を使ってみた。その方法は、次の投稿でアップする。
他に、この本を題材にしたドキュメンタリーがYouTubeにアップされている。オリジナルは英語のドキュメンタリーだが、NHKが放送したので、こちらは日本語版になっている。