昨夜(2月13日夜)はヤンゴンのいたるところで大騒動が起こった。私が住むMと言う団地でも5人の不審者が捕まった。
昨夜10時頃、突然周りから鍋叩きの音と大勢の人の怒鳴り声が聞こえてきた。私も急いで階下に降りた。放火しようとした5人の不審者を見つけ、住民たちが彼らを追いかけていたのだ。住民たちの手には棍棒を持っている人が多い。不審者が襲ってきた場合に戦うためだ。私は棍棒の代わりに傘を持っていた。
ほどなくして一人捕まってヤックエ(最小の行政区分で、日本の町内会の広さ程度)の事務所に連れて行かれた。住人たちに尋問されている。40代の男で、毒が入った瓶を持っていたが、犯行は未遂だった。
残りの4人も捕まった。何と少年たちだった。一人に年齢を聞くと、15歳(日本の数え方だと14歳)だ。4人は仲間で住居はなく、いつもは路上やガード下で寝ているという。学校には一度も通ってないとも言っていた。少年たちは放火するための道具を持っていたが、こちらも未遂だった。
この騒ぎはここMだけではなかった。遠くから鍋叩きの音が何度も聞こえてきた。また、友人たちからも、自分たちが住んでいる地域で不審者騒ぎが起きているという連絡がMessengerを通じて続々と来た。Facebookを見ると、ヤンゴン中でこうした騒ぎが起きていた。恐ろしいほどの同時多発犯罪だ。
自然発生で同時にこんなことが起こるわけがない。誰かがやらせている。放火で捕まった12歳の少年は、50万チャット(約4万円)をもらって放火をしたという情報もある。こんなことをやるのは軍しかない。
また、各所で住民により捕まった不審者の多くは麻薬を注射されていたという情報がある。Mで捕まった少年たちも目の焦点が定まらないような表情だった。軍は裏で麻薬ビジネスを行っているというのは有名な話だ。
1988年の民主化運動が最後に暴動にまでなったのは、軍が犯罪者を雇っていろんな悪事を働かせたからだった。また、兵士が民間人に化けていろんな混乱を起こした。今回も軍は同じ手を使いだした。日本ではこんなことが起こるとは想像することすらできないが、これがミャンマーの今の現実だ。
軍はクーデター抗議運動を力で抑えたい。しかし、抗議運動は平和的なデモとCDM(不服従運動)で、暴力と混乱とは無縁の運動だ。この運動に対して国際社会の評価をを気にする軍はさすがに手を出せない。そこで暴力と混乱を起こすために、夜にこうしたことを行うのだ。太陽が眩しいので夜陰に隠れてしか行動ができないのが今の軍だ。
なお、Mでの騒動はFacebookでライブ配信を行った。捕まった少年たちの姿も出したが、未遂だったし本当に犯罪を行おうとしていたかまだ分からない部分がある。なので、ライブ映像のアーカイブは "友達" のみが見ることのできる設定に変えた。音がブツブツ切れているのはたぶんネット環境が悪かったせいかと思います。
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